Maxwell Filter 2

2009年1月広島大学病院にSignal Space Separation (SSS) version 2がinstallされました。
manualの情報によると以下のように球面調和関数で級数展開しているそうです。

ここでYnmは球面調和関数で αnm・・・の項は脳内の信号、βnm・・・の項は脳外の信号です。 直交座標でなく極座標なので、r、θ、φが用いられています。 直交座標と極(球)座標間の座標変換は以下の式になります。

YnmをMathematicaを使って調べてみます。
Do[Do[Print[SphericalHarmonicY[n,m,\[theta],\[phi]]],{m,-n,n}],{n,1,8}]
とすれば一覧が表示されます。
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球面調和関数YnmはYmnと書くこともあります。 以下の式であらわされます。

PmnはLegendreの陪関数だそうで

です。ここでPnはLegendreの多項式だそうで

だそうです。手計算だと絶対に間違えそうです。

以下は球面調和関数の一覧です。
n=0のとき

n=1のとき

n=2のとき

この式を見てイメージすることは凡人にはできないので、図示します。
下図は球面調和関数の複素数の解の大きさを半径方向とした図です。

下図は球面調和関数の複素数の解を実数と虚数に分けて二乗した大きさを半径方向とした図です。

下図は半径を2として、さらに複素数の大きさ適当に補正した図です。

Matlabで作成しました。
ShowSphericalHarmonicFunction.mをdownloadして、
ShowSphericalHarmonicFunction(5)
と入力すれば上記の絵が出てきます。マウスで回転させることもできます。 5を6にするともっとたくさん出てきますが煩雑になります。
MaxFilterには∂Ymn/∂θの項があります。 Mathematicaで計算させておきましょう。
Do[Do[Print[D[SphericalHarmonicY[n, m, θ, φ], θ]], {m, -n, n}], {n, 0,8}]
とすれば一覧が表示されます。
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n=0〜2は以下の通りになります。

一番最初の式をMathematicaで計算させました。 SSS 2.0のdefaultは脳内のn=8、脳外のn=3となっていますが、 Samu Tauluの原著(Brain Topography 6:269-275,2004)ではn=0はmonopoleだから無視し、 脳内のn=9、脳外はn=6と書いてありましたのでMathematicaでもそうしています。
0Sum[Sum[α[n][m]*(-(n+1)) SphericalHarmonicY[n,m,θ,φ] er +D[SphericalHarmonicY[n,m,θ,φ],θ] eθ +I m SphericalHarmonicY[n,m,θ,φ] eφ),{m,-n,n}],{n,0,8}] -μ0Sum[Sum[α[n][m]*(n SphericalHarmonicY[n,m,θ,φ] er +D[SphericalHarmonicY[n,m,θ,φ],θ] eθ +I m SphericalHarmonicY[n,m,θ,φ] eφ),{m,-n,n}],{n,0,3}]
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ワークステーションにsss_J11というfolderがあり、create_spherical_array.mというファイルがありました。
以下のような半径0.08mの球+αを見つけました。

センサー信号をこの球状の信号に変換して球面調和関数の級数展開をしているんではないかと思っています。