Maxwell Filter
Maxwell FilterはNeuromagのSamu Taulu氏らによって考案された磁気雑音を軽減する方法で、
以前はSignal Space Separation (SSS)と呼ばれていました。
2005年1月広島大学病院のハードサイクル時にversion 1.1.5がinstallされました。
尚、licenceはsinuheにしかおりていません。
マニュアルにある数式は
で最初の項が脳由来の磁場、最後の項が脳以外由来の磁場だそうです。
αとβは係数、Ynmはspherical harmonic function、
∇は脳の内と外のharmonic basis functionだそうです。
実際に使うときはsinuheのterminalを開き、オプションを指定したコマンドを入力します。
defaultの設定は以下のようになっています。
で使ってみました。default状態のままで。
$ /neuro/bin/util/maxfilt -v -f target_file.fif
とタイプします(何をしているかを見たくなければオプションの-vは不要)。
最後にOKが出て、元のfileに_sss.fifという名前がついて終了です。
ではどこがどうなったかplotterで調べてみました。
黄色がoriginal、赤がmaxfilt後の波形です。
maxfilt語の波形ではoriginalの波形になかった信号が加わっているところもあります。
細かく波形の変化を調べるためGraphで以下のようにプログラムしました。
dはoriginal波形を読むdiskfile widget、
fileはmaxfilt後の波形を読むdiskfile widget、
pとp2は同じchannelを選択するpick widget、
subはoriginal波形とmaxfilt後の波形を差分する関数fsubのbinary widget、
sはselector widgetで
(select-to (G-widget "s")(p 0)(p2 0)(sub 0))
とプログラムします。displayはdefaultのplotter-widgetです。
では実際に波形を1つ1つ点検してみます。
上段はoriginal、中段はmaxfilt後、下段は差分波形です。
maxfilt後はoriginalにあった高周波の波形が消失していますが、
maxfilt後の波形初期に棘波様の信号が新たに出現しています。
同様に上段はoriginal、中段はmaxfilt後、下段は差分波形です。
maxfilt後はきれいにoriginalにあった低振幅の律動が消えています。
maxfilt後の波形がoriginalに比べてきれいになっているとはいえません。
maxfiltの効果てきめんです。高周波・低周波の波形が消えています。
maxfilt後に交流波がきれいに消えています。
その他の波形でも検討してみました。plotterでみたところです。
original波形です。
maxfilt後の波形です。・・・きれいになったのだろうか?。なんか変です。
Graphで細かく見てみます。
maxfiltの効果は疑問です。
maxfiltは高周波の波形をある程度消していますが、インパルス波形を新たに生じています。
Maxwell filterは脳由来と脳以外由来の磁場を分離するそうです。心磁図はどうか検討しました。
60秒の自発脳磁場活動にMaxwell filterをかけました。
sampling rate 600.615Hzで60秒のデータです。1秒ごと異なるfilterをかけているみたいです。
結構時間はかかりますが、無事終わりました。
で結果です。
少しは心磁図はとれたみたいです。
Maxwell Filterに慣れて、オプションを上手に選択できるようになれば、
波形をきれいにできるようになるのかもしれません。結論。しばらく様子見とします。