液体ヘリウム消費量
脳磁計には超伝導量子干渉素子 SQUID と呼ばれる部品があり、超伝導状態を保てるよう常に冷やしておく必要があります。
脳磁計は実はその大部分が巨大な液体ヘリウムタンクで構成されています。このヘリウムタンクをDewarといいます。
Dewarに液体ヘリウムをいれ、超伝導状態を保っていますが、液体ヘリウムは時間とともに蒸発してなくなるので、
その都度、液体ヘリウムを充填する必要があります。
真空断熱層vacuum insulating zoneの真空度が低下するとヘリウム蒸発量が増えます。
そこで真空度を保つため、年に1回真空断熱層の「真空引き」を行います。
ニューロマグではハードサイクルと称しています。
常温の真空断熱層の圧10-2mbar(ミリバール=hPa:ヘクトパスカル)を10-3mbarまで引くそうです。
2005年1月の広島大学病院のハードサイクルでは、真空引きの最終値は5.5×10-3mbarでした。
なぜか保守点検報告書には真空度が幾らから幾らになったかの値を記載する項目がありません。
広島大学病院の脳磁計は毎週液体ヘリウムを約100リットル充填しています。
2000年3月31日の脳磁計導入時、Dewarにヘリウムを入れているところ。
2005年1月24日ハードサイクル時。真空ポンプで真空断熱層の真空引き中。
液体ヘリウムは、日本は米国からの全面輸入に頼っているそうです。
米国テキサス州のAmarilloで世界の90%を産出しているそうですが、ここのヘリウムが広島大学病院に入っているかどうかはわかりません。