空間フィルター

空間フィルターを大まかに2つに分類すると最小ノルム法最小分散(adaptive beamformer)法 に分けられます。式で示すと以下のようになります。


最小ノルム法は1時点における各格子点の電流の総和が最小であると仮定して、 最小分散法は一つの格子点におけるある時間幅の電流の総和が最小であると仮定して、 電流源を求めるものです。 この仮定が生理学的に正しいという保障はありません。
また最小分散法という名前は、各格子点における最小電流量の式を展開すると、計測磁場の分散行列が出てくること (ただし各センサー信号の平均値をゼロと仮定)に由来します。 そしてadaptive beamformerのadaptiveとは時間幅の取り方に適応した(adaptive)、という意味です。

以上の仮定から 最小ノルム法では格子点のおき方により、 最小分散法では時間幅の取り方により、 格子点の電流の大きさが変化します。 最小ノルム法、最小分散法ともに逆行列がでてきますが、この逆行列の求め方が 秘伝のだしに相当するところです。 私が知る限り
  1. 特異値分解・・・Neuromag社がよく使う
  2. bachus-Gilbert係数×雑音行列・・・Synthetic Aperture Magnetometry (SAM)で使われている
  3. Tikhonov係数×単位行列・・・これが一番simpleな気がします
などがあります。 何をしているかというと、逆行列がなんとか求まるように細工をするわけです。
空間フィルターを作っている人、使っている人に、この部分を聞いても、なかなか教えてもらえません。

さらに脳表と脳深部の電流源に重み付けなる細工をすることがあります。 希望する電流源になるように解を誘導しているような気がしますが、 結果オーライでいいのかもしれません。